2014年1月14日火曜日

マインドフルネス瞑想の実践(マインドフルライフ協会定例会資料)

1 マインドフルネス瞑想の目指すもの
  (瞑想の) 集中力が深まるにつれ、思考や感覚が一つ一つ別々の泡のように・・・ゆっくりと現れてくるのを見る能力がつくでしょう。・・・思考や感覚は無意識の領域からゆっくり湧き上がってきます。・・・(略)・・・ 私たちが目指し、努力している理想というのは、一つ一つの心の現象に何も付け加えず、いかなる部分も逃がさずに、あるがまま、充分に経験することです。(バンテ・H・グラナタナ著「マインドフルネス」より)

2 マインドフルネス瞑想の練習ステップ
(1) 体の“感覚”に「気づき」を置く練習
   ・マインドフル・ヨガ
   ・ボディスキャン瞑想
(2) 静座瞑想で「呼吸に伴って生じる感覚」に注意を置き、「集中力」と気づき」を高める練習。
(3) 「気づき」を、“からだ全体”、“音”、“思考の流れ”、“選択のない気づき”広げる練習。
      〇ヴィパッサナーの開始に「禅定」を求めない
(4) (平行して)日常生活に広げる練習
   ・歩く瞑想 ・食事  ・待ち時間等

3 マインドフルネス指導者に求められる事項
 毎日のマインドフルネス瞑想の実践
〇 指導者の付いたマインドフルネス宿泊瞑想会への参加(510日間)
 ヨーガ等による身体への気づきの訓練
 関連する分野の専門的学習と訓練
                                        Oasis   Institute)
4 マインドフルネス瞑想基礎練習プログラム

Ⅰ 目的
  マインドフルネス・ストレス逓減法(以下、「MBSR」)及びマインドフルネス認知療法(以下、「MBCT」)に示されたエクササイズを簡略化し、基礎となっているマインドフルネス瞑想を練習するためのプログラムを例示する。

Ⅱ 留意点
  本プログラムの「静座瞑想」エクササイズは次のように実施する。
 1 呼吸により生じる身体感覚を「気づき」の対象とし、注意がそれたら、何度でも繰り返し集中することにより、集中力を育てる。
2 呼吸に注意を集中できるようになったら、私たちの中で起こる感覚や感情、思考に「気づき」の対象を広げていき、それらを“客観的”に観察することのできる力を育てる。

Ⅲ プログラムの構成
練習のプログラムは次のエクササイズから組み立てるものとする。
1.            身体感覚を感じる瞑想(ボディー・スキャン、MBSR p139
2.            慈悲の瞑想(MBSR p312)
3.            静座瞑想(MBSR p110)の各エクササイズ
4.            歩く瞑想(MBCT p139)
5.            立位のマインドフル・ヨーガ(MBSR p164)ほかのボーディ・ワーク
6.            毎日行うマインドフルネス(MBCT p256
7.            その他MBSR及びMBCTに示されているエクササイズ

Ⅳ 毎日の練習の推奨
  マインドフルネス瞑想は1日に1回は、「身体感覚を感じる瞑想」「慈悲の瞑想」「静座瞑想」を組み合わせて約40分間実施するとともに、機会を捉えて「毎日行うマインドフルネス」を実施することを推奨する。

1 身体の感覚を感じる瞑想(簡易ボディー・スキャン)
(1)背筋をのばし、楽な姿勢で、ゆったりと座り、目をそっと閉じましょう。
(2)下腹部の感覚に意識を置き、息とともに、下腹部が膨らんだり、縮んだりする感覚を感じましょう。ゆったりとした呼吸のリズムを感じましょう。
(3)次に、ゆっくりと息を吸い込み、注意の焦点を身体の特定の部分に置き、2~3回呼吸をします。背景では呼吸に気づきつつ、前景では特定部分のあらゆる身体感覚を探り、感覚と共に呼吸しましょう。
(4)次に吸う息で注意の焦点を左足のつま先に置きましょう。注意を足の裏、ふくらはぎ、太ももに移しましょう。今度は右足のつま先、足の裏、ふくらはぎ、太ももに移しましょう。骨盤の部分に移りお尻の部分も意識し、この部分全体を感じましょう。次に注意の焦点を腰、背中の下部、背中の上部、お腹と脇腹、肋骨と胸の部分に移動しましょう。
(5)  両手は同時に行います。両手のひら、腕の下部、上腕、肩に移動しましょう。
(6) 次に、首とのどの部分に移動しましょう。顔全体を感じましょう。後頭部に移しましょう。 
最後に頭頂部に移しましょう。
(7)  このあと、少し時間をとって、全体としての身体の感覚に気づきを向けましょう。

2 慈悲の瞑想  
   慈悲の瞑想で“我”への執着を弱めてから、ヴィパッサナー瞑想(マインドフルネス瞑想)を引き続き実践すると、ヴィパッサナーの智慧により真実を洞察することが容易になると言われています。
1 慈悲を送る対象(初めは、次の3種類で行いましょう。)
(1)  あなた自身
自分を包みこむような イメージを思い描いて念じましょう。
(2)  あなたが恩を感じている人
あなたが敬愛する人や大切に思う人を目の前に思い浮かべて念じましょう。
(3)  すべての人
幸せを願うあなたの思いをすべての人にささげましょう。
  
2 送り方
心の中で、吐く息とともに2~3回唱えます。

(私が) 苦しみからはなれ (または、健やかであり、危険がなく)
       心安らかに
        幸せでありますように

3 静座瞑想
1 身体の部
() 呼吸に伴って生じる感覚に意識を集中しましょう。
① 息を吸うと、鼻先から空気が入ってきて、鼻孔を通過する空気の流れが鼻孔の縁に触れる感覚が感じられます。息を吐くと空気が鼻孔を通り過ぎ、鼻先から出て行く感 覚が感じられます。呼吸に伴う感覚の変化に「気づき」を向け、息の始まりと終わり、息と息との小休止にも注意を向けます。
 (鼻先の感覚を感じにくい場合は、お腹が膨らんだり縮んだりする感覚に注意を置きます。)
② 注意がもはや呼吸に向いていないと気づいたら、心の行き先を簡単に確認し、身体感覚の変化に注意を穏やかに戻します
() 全身に意識を広げましょう。
        呼吸への気づきがある程度安定してきたと感じたら、全身の身体感覚が含まれるように、気づきの領域を拡大しましょう。

2 感覚の部
(1) 気づきの焦点を、身体感覚から聴くことへ移しましょう。注意を耳へと向け、気づきが広がるのにまかせます。できるだけ心をオープンにし、どんな方向からの音にも気づけるようにしましょう。感覚としての音に気づいてください
() 身体の特定の部分に何か強い感覚を感じたら、身体の感覚を感じる瞑想でしたように、そこから息を吸ったり、吐いたりしてみましょう。

3 心の部
(1) 呼吸に対する注意が安定したら、心の中の「欲望」や「怒り」といった思いに注意を向けましょう。思いや考えを心の中の“出来事”として感じ取り、受容するようにしましょう。煩悩がない時の心も観察しましょう。
(2) 一番はっきりと感じられる思考や感情に簡単に名前を付け、頭の中で2、3回唱えることを試してみましょう。
(3) 意識を完全に開放し、意識の領域に入ってきたものはすべて受け入れ、去っていくものは去るにまかせて、それをじっと観察する練習をしてみるのも良いでしょう。


4 歩く瞑想
(1) 手を前か後ろで組み合わせ、視線をやさしくまっすぐ前に向けます。

(2) 両足と床の接触面に気づきを向け、足の裏と床の接触による身体感覚を感じましょう。

(3) 体重を左足に移し、息を吸いながら右足のかかとを床からゆっくりと上げ、注意深く半歩前に進めましょう。小さく自然な歩幅がベストです。

(4) 息を吐きながら右足のかかとから床に着け、体重が足先にかかっていくのを感じます。

(5) 同様にして左足を半歩進めます。
     自然な呼吸に合わせ、呼吸をペースメーカーにして歩いてみましょう。

(6) 端まで来たら,少しの間立ち止まって、「立つ」ということを意識しましょう。
  それからゆっくり体の向きを変えながら、そのときの複雑な動きに気づいて、それを認めて、そして歩き続けます。


5 立位のマインドフル・ヨーガ
1  山のポーズ
 手のひらは開いて体側に置き、まっすぐに立ちます。前後に傾かないように、頭は両肩と直角に保ちます。体重は両脚に均等に乗せ、膝、腰、肩、耳が一直線上に来るようにします。ヨガを行っている間は常にゆったりと呼吸し、その呼吸に合わせるようにゆっくり身体を動かします。

23 全身ストレッチ
 息を吸いながら両腕を横に床と平行になるまで上げ、一度止まり、1・2度呼吸してから手のひらを返し、次の息を吸うのと共に頭の上まで上げます。まっすぐに前を見つめ、腕と胴体を空に向かって伸ばします。息を吐きながら手のひらを外側に向け、手首を直角に曲げて押し出すようにしながら、ゆっくり意識して、腕を体側に戻します。                                           

4 腕のストレッチ
 自然な呼吸をしながら左腕を頭の上まであげます。出来るだけ遠くまで左手を空の方向に伸ばし、右手は床の方向に伸ばします。④同時に右のかかとを持ち上げさらに身体を伸ばします。ゆっくりと開放し、かかとと腕を下ろします。反対側も行います。
右腕を頭の上まで上げます。さらに空に向かって伸ばしながら左手は床の方向へ④同時に左のかかとを持ち上げます。ゆっくりかかとを下ろし、腕を下ろします。

5 体側のストレッチ
 息を吸いながら両腕を平行に頭の上まで挙げます。一度息を吐き、吸いながら上へ高く伸び、息を吐きながら腰を右に押し出しゆっくりと身体を左へ倒します。三日月を形作るようにして右の脇を伸ばします。ゆったりと呼吸し、吸いながら腕を中央に戻します。
そのまま息を吐きながら腰を左に押し出し、ゆっくりと全身を右側に倒し左のわきを伸ばします。ゆったりと呼吸し④吸いながら腕を中央に戻し吐きながら下に下ろします。

6,7,8,9 肩を回す
 腕はぶら下げた状態で、最初は肩を耳に向かってできるだけ持ち上げます。それから肩甲骨を合わせるように後ろへ持っていきます。次に肩を完全に落とし、それから肩をくっつけるかのように出来るだけ身体の前で絞り合わせます。最初は同じ方向に3回行います。胸を広げるときに息を吸い、腕が前に来たときに吐きます。それから反対周りで3回、この間ずっと気づきで身体を満たします。再び最初の姿勢に戻り、呼吸をします。

10,11,12,13  首のストレッチ
 初めは左耳を左肩にできるだけ近づけます。次にあごをひいて頭を中央に持ってきます。それから右の耳を右の肩に、続いて無理せずに頭をゆっくりと後ろへ。このようにしてやさしく頭を回します。最初は一方向へ3回行います。それから逆回りで3回。最後に初めの姿勢へ頭を戻します。

14 バランスのポーズ
 両腕を肩の高さまで左右に広げ、左脚を横に持ち上げます。ゆったりと呼吸をし、静かに足と手を下ろします。今度は両手を広げ、右脚を上げます。元に戻ります。

1516 ねじりのポーズ
 両足は肩幅に開き、両手を骨盤においてまっすぐに立ちます。息を吸い吐きながら、左斜め方向に身体をねじります。左肩を後方にひいて、背骨を軸にタオルを絞るような感覚で、さらに胸を広げるようにねじります。息を吐きながら戻ります。反対側も同様に行います。両手を骨盤に置いて息を吸い吐きながら、右斜め後方に身体をねじります。右肩を後方にひいて、さらにむねをひろげるようにします。息を吐きながら戻ります。

17,18 前屈
 息を吸い、吐きながら両膝を軽く曲げ、腰を曲げて、両手ですねを持ちます。自然な呼吸をします。両手はすねに置いたまま膝を伸ばし、頭と身体が床と平行になるように起こし、胸を広げて大きく呼吸します。息を吸いながら左腕が床と飛行になるまで、ゆっくり伸ばします。吐きながら左腕を戻します。次に右腕を息を吸いながらゆっくり伸ばします。吐きながら右腕を戻し、身体をまっすぐに起します。

19 椅子に腰かけるポーズ
 両腕を前に伸ばし、腰を後ろへひきます。つま先が見えるよう、膝が前に出過ぎないよう気をつけます。ゆったりと呼吸します。元に戻ります。

20 バランスのポーズ
 最初に右ひざを曲げ、左脚のすねのあたりに右足のくるぶしをつけるようにします。両腕を胸の前で組み、合掌します。息を吸い、バランスを取りながら腕を頭の上に持っていきます。余裕があれば左の手のひらを交差させ、合掌します。やさしく一点を見つめ、ゆったりと呼吸します。息を吐きながら、両手を胸の前に下ろし、静かに戻ります。
次に、左ひざを曲げ、右脚のすねのあたりに左足のくるぶしをつけるようにします。両腕を胸の前で組み、合掌します。息を吸い、バランスを取りながら腕を頭の上に持っていきます。余裕があれば右の手のひらを交差させ、合掌します。一点を見つめ集中するようにします。ゆったりと呼吸します。息を吐きながら両手を胸の前に下ろし元に戻ります。

2122 ウォーリア・Ⅱ
 左脚を後ろに引き、両足を肩幅の2.5倍くらいに広げます。右つま先は前を向き、左足は45度外側に開きます。右ひざを曲げ、両脚に重心を置き、両腕を前後に広げます。自然な呼吸をし、様々な感覚を感じます。左の手のひらを返し、左の体側を伸ばすと同時に右ひじは右ひざにおきます。左腕を下ろし、右ひざを伸ばします。後ろ向きに向きを変え、左つま先は前を向き、右脚は45度外側に開きます。左ひざを曲げ両脚に均等に重心を置き、両腕を前後に広げます。ゆったりとした呼吸を行います。手のひらを返して上に上げ、右の体側を伸ばすのと同時に左ひじは左ひざに置きます。右腕を下ろし、元に戻ります。

23 最後にもう一度山のポーズに戻ります。

〇立位のマインドフル・ヨーガ ポーズ 


〇音声ファイル

6 毎日行うマインドフルネス
(1) 朝最初に目覚めたとき、布団から出る前に、呼吸に注意を向けましょう。
  マインドフルな呼吸を5回行い、観察しましょう。
(2) 姿勢の変化に気づきましょう。横たわっている状態から、座り、立ち、歩く状態へ動いていくときに身体と心がどんな風に感じるかに意識を向けます。ひとつの姿勢からの姿勢へ変化する際にただ気づきを向けましょう。
(3) 電話の鳴る音、鳥が歌う音、電車が通る音、笑い声、車のクラクション、風の音、 ドアが閉まる音、などが聞こえてくるときはいつでも、どんな音もマインドフルネスの 開始のベルとして利用します。本当に注意深く聴き、今ここで目覚めていましょう。
(4) 一日中、ちょっとした瞬間に呼吸に注意を向けましょう。
マインドフルな呼吸を5回行い、観察します。
(5) 何かを食べたり飲むときはいつでも、少しの間、呼吸する時間をとりましょう。
 食べ物を見て、それが成長をはぐくむ何かとつながっていたことを理解します。日光や、雨や、土、農家、トラックの運転手が、食べ物を通して見えますか。食べるときに  は注意を払って、意識的に身体のために消費されるようにしましょう。食べ物を見て、匂いをかいで、味わって、噛んで、飲み込むことに意識を向けましょう。
(6) 歩いたり立っているときの自分の身体に気づきましょう。
少し時間をとって、姿勢に意識を向けます。足の下にある地面との接触に注意を払いましょう。歩くとき、顔や腕や足にかかる空気を感じましょう。今、急いでいますか。
(7) 聞くこと話すことに意識を向けましょう。
 賛成も反対もせず、好き嫌いもせず、自分の番になったら何を言うかも考えないで、ただ聞くことができますか。話しているとき、誇張したり控えめに言うことなくいう必要のあることだけを言うことができますか。心や身体はどう感じているに注意を向けることができますか。
(8) 列に並んで待っているときはいつでも、その時間を利用して、立っていることや呼   吸していることに注意を向けましょう。足と床の接触や、身体がどんな風に感じているかを感じます。腹部に注意を向けましょう。落ち着かない感じがしていますか。
(9) 緊張している部分に一日中注意を向けていましょう。
 そこに息を吸い込むことができるかどうか、そして息を吐き出したとき、緊張を手放せ  るかどうかを観察しましょう。身体のどこかに緊張がたまっている部分はありますか。
たとえば首、肩、胃、あご、腰はどうですか。できればストレッチかヨーガを1日に1回やりましょう。
(10) 日常の活動に注意を向けましょう。たとえば歯磨きや手洗い、髪のブラッシング、靴を履くとき、仕事をするときなどです。それぞれの活動にマインドフルでいましょう。
(11) 夜眠る前に、数分とって呼吸に意識を向けましょう。マインドフルな呼吸を5回行 い、観察しましょう。

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