2013年2月11日月曜日

マインドフルネス瞑想と集中力


 テーラワーダ仏教の伝統的な瞑想方法ではヴィパッサナーは禅定に達した後で実践していたのに対し、マハーシ方式では気づきと注意集中力を一緒に育てていきます。
 では、マハーシ方式ではどの程度の注意集中力が求められるかという点について、ウ・コーサッラ西澤師が訳された、「Vipassanaa Q&A  マハーシサヤドーと現代のヴィパッサナー瞑想法」の中では次のように書かれています。

(質問6:答え) …(略)… 禅定の近くで生じる近行定ぐらい得られれば五蓋の煩悩などが除かれているので、その近行定によって心清浄が満たされヴィパッサナー瞑想を実践でき、その様に瞑想することによって阿羅漢果まで達することができ、その様に達した人が多くいると清浄道論などにはっきりと述べられています。
仏説であるパーリ経典などにも近行定ぐらいを得られる威儀の部によるヴィパッサナー瞑想法によって阿羅漢果まで達することができると大念住経などにはっきりと説かれています。…(略)…

 つまり、禅定に達するまでの必要はないが、それに近い集中力(近行定)は必要であるということです。(なお、五蓋とは「欲・怒り・眠気・混乱状態と後悔・疑い」です。)

マインドフルネス瞑想でも基本的な考え方は同じだと思われます。
例えば、「心の中の思いと共に座る」エクササイズでは「かなりの集中力」が必要とされ、「あるがままの意識と共に座るトレーニング」では「かなり練習を積んだうえで得られる落ち着きと注意集中力」が必要とされています。
「気づき」の力を養うことにより、第一禅定に近い集中力がもたらされということはありますし、「ボディスキャン瞑想」と「マインドフルネス・ヨガ」を「静座瞑想」に先立って練習することには、注意集中力を育むという狙いもあるものと考えられます。
ただ、MBSRの参加者にはモチベーションの高い方が多いことを考えると、マインドフルネス瞑想を継続して練習してもらうためには更なる工夫も必要になると思います。

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